「空室が続いている…家賃を下げるべきか?」と、なかなか決断できずにいるオーナー様は多いです。収益を守りたい気持ちと、このまま空室が続く不安との間で考え続けてしまう——そんな状況、決して珍しくありません。
賃貸経営において、“家賃設定は収益の根幹”です。値下げは一度行うと元に戻しにくいからこそ、判断の前に確認すべきことを知っておきましょう。
私たちSREM(スリム)は、東京23区・神奈川・千葉・埼玉の一部エリアで賃貸管理をはじめ、売買仲介・賃貸仲介まで手がける不動産会社です。代表の私、菅原は業界歴18年以上のプロとして、これまで多くのオーナー様の賃貸経営に携わってきました。
この記事では、家賃を下げるべきか迷ったときの考え方と、焦らず動くための方法を現場目線でお伝えします。
「どうすればいいの…?」という状態から一歩踏み出す手がかりになれば、これ以上うれしいことはありません!
もくじ
Toggle家賃を下げるべきか迷ったらまず確認したい3つのこと

家賃の値下げ判断は、感情ではなく「3つ」の客観的な指標をもとに行うことが大切です。
早速、順番に確認していきましょう。
不動産ポータルサイトで周辺相場を確認する
まず確認したいのはこの点です。家賃が相場より高すぎると、入居希望者の検索結果にそもそも表示されないケースがあります。
調べ方はシンプルで、スーモ・ホームズ・アットホームなどのポータルサイトで、以下の条件が近い物件を絞り込んで家賃を確認します。
- エリア(最寄り駅・徒歩分数)
- 築年数(±5年程度)
- 間取り・専有面積
- 主な設備(オートロック・宅配ボックスなど)
相場より1割以上高ければ、家賃設定を見直すサインと考えましょう。
ただし、ポータルサイトに載っているのは「現在募集中の物件」であって、「実際に成約した物件」ではありません。より正確な相場を知りたい場合は、不動産会社に成約事例を確認するのが確実です。
私たちSREMでは、エリアの成約データをもとに現在の家賃設定が適正かどうかを一緒に確認するご相談を随時受け付けています。気になる方はお気軽にどうぞ。
空室期間が相場の目安を超えていないかを確認する
空室期間の長さも、判断の重要な指標です。賃貸物件の平均募集期間は全国的に4~5カ月程度。これを大幅に上回る場合は何らかの問題がある可能性が高くなります。
ただし、地域によって目安は変わります。都心ほど賃貸需要が多く回転も速いため、同じ期間でもエリアによって意味合いが異なります。
| エリア | 「長期空室」とみる目安 |
|---|---|
| 東京・大阪などの都心部 | 3カ月以上 |
| その他の主要都市 | 4~5カ月以上 |
| 地方エリア | 6カ月以上(目安) |
※あくまで一般的な目安です。物件の条件や時期によって異なります。
自分の物件が上の目安を超えているなら、家賃設定を含めた対策の検討時期に入っています。あなたの物件はいかがでしょうか?
毎月の手残りと収支バランスを数字で確認する
家賃値下げの検討は、月々の収支を数字で把握してから行うのが鉄則です。なぜなら、感覚だけで判断すると「下げすぎて毎月赤字」という状態に気づかないまま経営が続いてしまうからです。
まず、以下の主な支出項目を月ベースで洗い出してみましょう。
- ローン返済額(元本+利息)
- 管理委託料
- 固定資産税・都市計画税(年額を12で割って月換算)
- 火災保険料(同上)
- 修繕費・原状回復費(積立ベースで月換算)
一点注意が必要なのが、ローンの元本返済部分です。元本は税務上の経費として計上できませんが、実際のキャッシュフローには毎月しっかり影響します。
そのため「税金の計算では黒字なのに、手元にお金が残らない」という状況が起きやすくなります。
これらの支出合計と現在の家賃収入を比べたとき、どれだけの余裕があるか・あるいは赤字なのかを把握した上で、値下げの幅や判断を考えましょう。
補足:実は焦って家賃を下げなくていいケースもある
ここまで確認指標を紹介してきましたが、「3つを確認した結果、今は値下げしなくていい」という状況もあります。以下に当てはまる場合、焦って値下げする必要はないと考えます。
| 状況 | 理由 |
|---|---|
| 築浅・リノベーション直後 | 物件の付加価値が高く、相場より高めでも成約の見込みがある |
| 繁忙期(1~3月・9~10月)まで1カ月程度 | 入居希望者が一気に増えるタイミングを待てる |
賃貸の繁忙期、特に1〜3月は新生活需要が一気に高まる時期で、同じ条件の物件でもこの時期は決まりやすくなります。
もし空室になったのが閑散期(6〜8月)であれば、「まだ次の繁忙期まで数カ月ある」と焦る必要はなく、9〜10月の第二繁忙期、あるいはその次の1〜3月に向けて、物件の磨き込みをする時間と割り切る考え方もあります。
以上、家賃を下げるべきか迷ったときに最初に確認したい3つの指標と、焦らなくていいケースについて解説しました。
空室コストと家賃の値下げコスト、どちらが損か?

結論から言うと、どちらが損かは「空室が何カ月続くか」と「値下げ幅がいくらか」によって変わります。
ただ、数字で比較すれば、どちらが合理的かは自ずと見えてきます。
空室中も支出は止まらない「損失が積み上がる構造」を知る
空室になっても、ローン返済・管理委託料・固定資産税・火災保険料などの支出はそのまま続きます。家賃収入がゼロの状態で支出だけが積み上がるため、空室が長引くほど損失はじわじわと膨らみます。
たとえば月家賃8万円・毎月の支出合計3万円の物件で見てみましょう。
| 空室月数 | 失う家賃収入の累計 | 支出の累計 | 合計損失 |
|---|---|---|---|
| 1カ月 | 8万円 | 3万円 | 11万円 |
| 3カ月 | 24万円 | 9万円 | 33万円 |
| 6カ月 | 48万円 | 18万円 | 66万円 |
※あくまで計算例です。支出の内訳・金額は物件によって異なります。
6カ月の空室で66万円の損失。「もう少し待てば」という気持ちは理解できますが、待つにもコストがかかるのが現実です。
値下げで空室が早まるなら実は得になる「回収期間」の考え方
値下げによって入居が早まれば、トータルでは損失を抑えられる場合があります。そのカギを握るのが「回収期間」、つまり何カ月入居が続けば値下げの影響を取り戻せるかという計算です。
【計算式】
回収期間(月数)= 解消できた空室期間の損失合計 ÷ 月額値下げ幅
先ほどと同じ条件(月家賃8万円・支出3万円)で、5,000円値下げして空室を3カ月解消できた場合で試算します。
【空室3カ月の損失合計】
(8万円+3万円)×3カ月=33万円
【回収期間】
33万円 ÷ 5,000円 = 66カ月(約5年半)
つまり、5,000円値下げして3カ月の空室をゼロにできれば、約5年半入居が続いた時点でプラスマイナスがゼロになります。
値下げ幅の決め方と入居者心理を動かす「端数」の切り方
値下げ幅を決める上で基準にしたいのは、相場との差です。周辺相場より高い分を引き下げて相場水準に近づけることが基本で、1回あたりの値下げ幅は「相場比3~5%程度」が目安になることが多いです。
月家賃8万円であれば2,400~4,000円程度が一つの基準です。ただしこれはあくまで目安であり、物件の状況や収支への影響を踏まえて判断することが大切です。
値下げ幅が決まったら、端数の切り方にも気を配りたいところです。
入居希望者はポータルサイトで「7万円まで」「8万円まで」と上限を設定して検索するため、キリのよい金額にすることで検索に引っかかりやすくなります。
| 値下げ後の家賃 | 検索への影響・印象 |
|---|---|
| 7万8,000円 | 「8万円まで」の検索には表示されるが割高感が残る |
| 7万5,000円 | キリがよく比較されやすい |
| 7万円 | 「7万円まで」の検索にも表示され、心理的ハードルが下がる |
端数一つで問い合わせ数が変わることは珍しくありません。値下げ幅を決めたら、金額の見せ方まで意識しておきましょう。
家賃を下げずにお得感を出す「初期費用・契約条件」の見直し
家賃そのものを下げなくても、入居者が感じる「初期コストの重さ」を軽くすることで空室解消につながる場合があります。大きな利点は、毎月の収益には影響しないか、一時的な影響にとどまりやすい点です。
代表的な方法が「フリーレント」です。
入居後1~2カ月の家賃を無料にする仕組みで、たとえば家賃8万円でフリーレント1カ月を付けると、オーナー様の実質的な損失は8万円。先ほど試算した「空室1カ月の損失11万円」より少ない計算になります。
| 対策 | 収益・キャッシュへの影響 | 入居者側のメリット |
|---|---|---|
| フリーレント1~2カ月 | 一時的・限定的 | 入居直後の費用負担が減る |
| 礼金の引き下げ・廃止 | 入居時のみ一時的に減収 | 入居時の一時金が減る |
| 敷金の引き下げ | なし | 初期費用の合計が減る |
| 家賃の値下げ | 毎月恒久的に減収 | 月々の支払いが下がる |
敷金を引き下げる場合は、退去時の原状回復費に充てる原資が減るため、特約等での対応を別途検討しましょう。
ここで大切なのは「家賃値下げを最初の選択肢にしないこと」です。
一度下げた家賃は元に戻しにくく、既存入居者から「なぜ自分だけ高いのか?」と不満が出るリスクもあります。
対策次第では、家賃水準を維持しながら空室リスクを低減できる場合があるため、当社SREMでは、物件ごとの状況に合わせて、どの対策が収益への影響が少ないかを一緒に考えるご相談を随時お受けしています。
以上、空室コストと値下げコストを数字で比較しながら、回収期間の考え方・適切な値下げ幅と端数の切り方・初期費用や契約条件の見直し方について解説しました。
値下げは早い?家賃を下げる前に試したい対策4つ

家賃を下げる前に、まずコストをかけずにできることから、順番に対策を試していくことが基本です。状況によっては、費用をかけずに改善できることも意外に多く、それだけで空室が解消するケースも少なくありません。
ここで紹介する対策を順番に試しながら、本当に値下げが必要かどうかを見極めていきましょう!
対策①:募集写真と物件説明文を見直す
費用をほぼかけずに今すぐ取り組める対策の一つです。入居希望者はポータルサイトの写真と説明文で物件の第一印象を決めるため、ここを改善するだけで問い合わせ数が変わることも多いです。
写真は日中の自然光が入る時間帯に、室内を整えた上で広角気味に撮ることで印象がぐっと変わります。説明文も「南向き・日当たり良好」だけでなく、近くのスーパーやドラッグストア、各種利便施設までの分数など、生活イメージが湧く情報を加えると効果的です。
費用はほぼゼロ、即効性も期待できる対策なので、まず最初に確認してみてください。
対策②:入居条件を緩和して候補者の間口を広げる
入居条件の見直しは、費用をかけずに候補者の母数を増やせる方法です。「ペット不可・楽器不可・単身のみ」といった制限の一部を緩和するだけで、これまで候補から外れていた入居希望者にアプローチできます。
ただし、既存入居者への影響や建物の管理ルールとの兼ね合いもあるため、管理会社と相談しながら慎重に進めましょう。
対策③:ターゲットを見直して「刺さる層」を変える
ターゲット層の見直しは、物件スペックを活かして角度を変える発想です。たとえば「単身者向け」として空室が続く1DKを、同棲カップルやDINKS(共働きで子どもをもたない夫婦)向けなどに切り替えると、これまでアプローチできていなかった層に訴求できます。
ただし、入居者ターゲットの変更は、現状の物件スペックとの適合性を先に確認することが大切です。
間取りや設備のミスマッチがある場合は一定のリフォーム費用が伴うため、まず「間取り・設備・広さなどが変更後のターゲット層のニーズに合っているか」を管理会社と一緒に確認した上で判断しましょう。
対策④:外観・共用部の清掃と第一印象を整える
内見の成約率を左右するのは、室内だけではありません。エントランスや共用階段・廊下など、入居希望者が最初に目にする場所の印象が悪いと、それだけで候補から外れることがあります。
ゴミ置き場の整備・共用部の清掃強化・外壁の汚れ落としなど、それほど費用をかけずにできる改善もあります。
中でも、ハウスクリーニングは間取りによって異なりますが、1R・1Kで2万〜5万円、1LDK〜2LDKで5万〜10万円程度が目安で、費用対効果が高い対策の一つです。
以上、家賃を下げる前に試したい対策4つを解説しました。当社SREMでは、費用と効果のバランスを踏まえた空室改善のご相談を随時受け付けています。
また、原因ごとの具体的な改善策をさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ:家賃を下げるべきか、焦らずに手順を踏もう

「空室が続くと、もう下げるしかないか…」と思いがちですが、判断を急ぐ前に確認できることはあります。この記事で伝えてきた内容を、実行の優先順位でまとめます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| まず確認する | 相場・空室期間・収支バランスの3指標を数字で把握する |
| 次に試す | 写真や説明文、ターゲット層の見直し、条件緩和など費用の少ない対策から順番に |
| それでも埋まらなければ | 回収期間を計算した上で値下げ幅を決め、フリーレントや礼金廃止などの組み合わせも検討 |
「家賃を下げるべきか」の答えは物件・エリア・時期によっても変わります。焦って動いて後悔するより、手順を一つずつ踏むほうが、結果として空室期間を短くできる場合が多いです。
SREM代表 菅原プロのアドバイス
18年以上この仕事をしていると、「もっと早く相談してくれていたら」と思う場面に何度も出会います。空室が半年を過ぎ、すでに大幅に値下げをして、それでも埋まらない…という状態になってからご連絡をいただくケースです。
値下げ自体が悪いわけではありません。ただ、「下げれば埋まる」という思い込みで動くと、取り返しのつかない収益ダウンにつながることがあります。
「次の入居者が決まれば元に戻せる」、そう思いながら判断が遅れるほど、選択肢はじわじわと減っていきます。早めに動いたほうが、結果として手残りを守れる。これが現場で繰り返し実感することです。
もう一つ、現場でよく感じることがあります。
それは、同じ物件・同じ家賃でも、「誰に・どう見せるか」を変えるだけで問い合わせが増えるケースが意外と多いことです。写真の撮り方、説明文の一言、ターゲット層の設定。こうした視点は、収支の数字には現れにくい部分でもあります。
賃貸経営のリアルな話や、オーナー様からよくいただくご相談については、私のYouTubeチャンネル「スリムな菅原さん【不動産会社女性社長】」でも発信しています。
「不動産で人生を豊かにする」をテーマに、書籍などには載っていない視点をお届けしています。チャンネル登録をしていただくと、現場からの気づきを定期的に受け取れますので、ぜひ確認してみてくださいね!
家賃を下げるべきか迷ったら、まずSREMに無料相談
「相談するほどの状況じゃないかも…」と思っているオーナー様ほど、早めに動いたほうが選択肢が多く残っています。私たちSREMでは、「今の家賃設定は適正か」「空室改善に何から手をつけるべきか」といったご相談を、初回無料でお受けしていますのでぜひ活用してください。
業界歴18年以上の私、菅原をはじめ、経験豊富なスタッフがあなた専属で担当し、エリアの成約データや収支シミュレーションをもとに、物件の状況に合った対策を一緒に整理します。
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