「最近、利回りが下がっているって本当?」「自分の物件、このままで大丈夫かな…」と気になって検索した方は多いはずです。その感覚は正しく、賃貸の利回りが下がりやすい環境はここ数年で変化しています。
利回りはシンプルな計算式で決まりますが、それを動かす要因は実は何層にも重なっています。
「なんとなく下がっている気が…」という感覚の正体を、きちんと言語化できている方は意外と少ないものです。
私たちSREM(スリム)は、東京都港区赤坂を拠点に、賃貸管理・売買仲介・資産運用コンサルティングをワンストップで提供する不動産会社です。代表の私、菅原は業界歴18年以上のキャリアを持ち、これまで多くの収益改善に対応してきました。
この記事では、賃貸の利回りが下がる本質的な理由と仕組みを、初心者の方にもわかりやすく整理してお伝えします。
利回りの低下は悲観するべきことではなく、仕組みを知ることで対応できることです。この記事をきっかけに、あなたの賃貸経営がより確かな判断のもとに進んでいくことを願っています。
もくじ
Toggle賃貸の利回りが下がる理由とは?まず構造を理解しよう

賃貸の利回りが下がる理由のひとつは、計算式の「分子と分母の関係」にあります。難しい話ではなく、構造を一度理解してしまえばすっきりします。
どこに原因があるのかを順番に見ていきましょう。
表面利回りの計算式を見れば、下がる理由がすぐわかる
賃貸投資でまず確認したいのが「表面利回り」です。計算式はシンプルで、次の通りになります。
表面利回り(%)= 年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100
たとえば、同じ賃料水準の物件でも、購入した価格が異なれば利回りは以下のように変わります。
| 物件価格 | 年間賃料収入 | 表面利回り |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 120万円 | 6.0% |
| 3,000万円 | 120万円 | 4.0% |
賃料は地域相場に縛られるため、物件価格が上がっても同じようには上がりません。「最近は利回りが出にくい」といわれる1つの理由は、この構造にあります。
「分子(賃料)は動きにくく、分母(物件価格)は市況に連動して動く」
このアンバランスが、賃貸の利回りが下がる計算式上の理由です。物件価格の上昇がいかに利回りに直結するかがよくわかります。
長期低金利と投資マネーの流入が価格を押し上げてきた
なお、物件価格は特に都市部を中心に上昇傾向です。その背景には、日銀が2013年4月から長年にわたって続けてきた大規模な金融緩和があります。
ローン金利が記録的な低水準に抑えられたことで、多くの方が高額な物件を購入しやすくなりました。同時に、運用先を求める国内外の投資マネーが不動産市場にどっと流れ込み、需要が膨らんで価格が押し上げられる流れが続きました。
ただし、2024年3月以降は日銀が段階的な利上げへと踏み切っており、すでに複数回の利上げが実施されています。これにより、物件価格の動向も変わりつつあると考えます。
金利が上がれば不動産への投資需要が落ち着き、価格上昇が緩やかになる可能性もあるため、今後の市況の変化を注意深く見守る必要があるでしょう。
建築費・人件費・用地費の上昇も利回りを圧迫する
利回りを下げる要因は、金融政策や投資需要だけではありません。物件を「つくるコスト・維持するコスト」の上昇も、利回りに静かに影響を与えています。
近年のコスト上昇の主な要因は以下の3つです。
- 建築資材費の高騰(資源価格の上昇・円安による輸入コスト増)
- 人件費の上昇(建設業界の慢性的な人手不足・少子高齢化)
- 用地費の高止まり(特に都市部の土地取得コストの上昇)
これらは新築物件の価格を押し上げるだけでなく、既存物件のリフォームやリノベーション、修繕にかかるコストも増やしています。つまり、すでに物件を保有しているオーナー様にとっても、運営コストが知らないうちに膨らんでいるケースがあるのです。
収益の実態を正確に把握するためには、表面利回りだけでなく、コストを差し引いた実質的な収益の確認が欠かせません(次の章で詳しく解説します)。
利回りの変化が気になる方は、まず「収支の実態を正確に把握すること」が第一歩です。私たちSREMでも、そのようなご相談をお受けしています。
以上、賃貸の利回りが下がる理由を「計算式の構造」「金融政策と投資マネー」「建築・維持コストの上昇」という3つの視点から解説しました。
表面利回りと実質利回りの差が大きくなりやすい理由は?

不動産広告に載っている「利回り○%」という数字は、ほとんどの場合「表面利回り」です。なかには、この数字だけを見て購入を判断する方も見られ、実際の手取り収益との大きなギャップに後から気づくことになります。
表面利回りと実質利回りは何がどう違うのか
2つの違いは「何を計算に含めるか」です。まず表面利回りは、経費をまったく考慮しない収入だけの利回りになります(計算式はおさらいです)。
表面利回り(%)= 年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100
一方、実質利回りは、運営コストと取得時の総費用を反映した実態に近い数字です。
実質利回り(%)=(年間賃料収入 - 年間諸経費)÷(物件価格 + 取得時諸費用)× 100
表にまとめると以下の通りです。
| 項目 | 表面利回り | 実質利回り |
|---|---|---|
| 年間賃料収入 | ◎ 含む | ◎ 含む |
| 年間諸経費 | ✕ 無視 | ◎ 差し引く |
| 取得時諸費用 | ✕ 無視 | ◎ 分母に加える |
| 実態への近さ | △ 遠い | ◎ 近い |
つまり、表面利回りは「経費ゼロ・満室想定・諸費用なし」という理想状態の数字です。
広告で目立つのはこちらですが、オーナー様が実際に手にできる収益とは別物と考えておく必要があります。
実質利回りを静かに押し下げる6つのコスト
実質利回りが表面利回りを下回るのは、運営中にさまざまなコストがじわじわと積み重なるからです。見落としがちな費用も含めて確認しておきましょう。
| コスト項目 | 目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 管理委託手数料 | 賃料収入の3〜8%程度 ※一般的な目安は5%前後 | 毎月発生する固定的なコスト |
| 修繕費・原状回復費 | 退去のたびに数万〜数十万円 | 築年数が上がるほど増える傾向 |
| 固定資産税・都市計画税 | 物件価格の0.3〜1%程度/年 | 保有中は毎年かかり続ける |
| 火災保険料 | 年数万円程度 | 小さく見えても長期で積み上がる |
| 空室損失 | 空室期間中は賃料収入がゼロ | 固定費は止まらないため実損が大きい |
| 入居募集費用 | 賃料の1〜2カ月分程度 | 退去が出るたびに発生する |
また、見落としやすいのが購入時のコストです。仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙代などがかかり、これが実質利回りの「分母」を膨らませます。
「表面利回り6%」の物件、実質では何%になる?
参考に、実際の数字で確かめてみましょう。「広告上の利回りと実際の手取りの乖離」を、具体的なケースで見ていきます。
【賃貸物件の前提条件】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 2,500万円 |
| 年間賃料収入 | 150万円 |
| 表面利回り | 6.0% |
【年間諸経費の内訳(概算)】
| 経費項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 管理委託手数料 | 約10万円 |
| 修繕費・原状回復費 | 約8万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 約13万円 |
| 火災保険料 | 約2万円 |
| 空室損失(空室率5%想定) | 約8万円 |
| 【合計】 | 約41万円 |
さらに、購入時の諸費用が125万円かかっていた場合、先の計算式に当てはめると以下の結果になります。
実質利回り=(150万円 - 41万円)÷(2,500万円 + 125万円)× 100 ≒ 4.2%
表面利回り6.0%に対して、実質利回りは約4.2%。差にして約1.8%です。
「利回りの高い物件だと思っていたのに、それほど手元に残らない」
その感覚の正体は、まさにここにあります。
私たちSREMでは、オーナー様ごとに諸経費を細かく洗い出したうえで、実質的なキャッシュフローを一緒に確認するところから始めています。「数字の見え方がまったく変わった」とおっしゃる方も多く、気になる方はお気軽にご相談ください。
賃貸物件の築年数・種類別に見る利回りの下がり方と傾向

利回りは、同じ賃貸物件でも、築年数・種類・立地によって異なる動きをします。「表面利回りが高い=良い物件」とは一概にいえないのはそのためです。
あなたの物件がどのフェーズにあるかを確認しながら、利回りが下がる構造を整理していきましょう。
築年数が上がるほど、収益が圧迫されやすくなる
築年数と利回りの関係には、見落とされやすい二段構えの動きがあります。
新築・築浅期は物件価格が高いぶん、表面利回りは低くなりやすい時期です。ただ修繕費はほとんどかからず、入居ニーズも高いため、収益は比較的安定することが多いです。
ところが築年数が進むにつれて、修繕費・原状回復費が増え、家賃相場も徐々に落ちていく傾向があります。コストが増えながら収入も減るという、収益を両側から圧迫される状態です。
これが「築年数だけを見て判断することが危うい」理由のひとつであり、表面利回りの数字だけでは見えてこない築古物件の注意点です。
物件の種類によって「利回りの下がりやすさ」が違う
利回りへの影響は、賃貸物件の種類によっても異なります。あなたの物件タイプはどれにあたるか、確認してみてください。
| 物件種別 | 利回りが下がりやすい理由 |
|---|---|
| 区分マンション | 管理費・修繕積立金が毎月固定でかかり、実質利回りを継続的に圧縮する |
| 一棟アパート | 築古になると、一棟分の修繕コストと空室リスクが同時に膨らみやすい |
| 一棟マンション | エレベーターなど設備維持費が固定でかかり、アパートより利回りが出にくい |
| 戸建て | 立地・築年数による差が非常に大きく、他の種別との単純比較が難しい |
※一般的な傾向の目安です。エリア・築年数・管理状態によって大きく異なります。
どの種類の物件も、弱点を事前に把握しているかどうかで、収益の見通しがまるで変わります。
「うちは一棟アパートだから利回りが高くて安心」ではなく、表面利回りの高さが、修繕コスト増や空室リスクの上昇と引き換えになっているケースは少なくありません。
その関係を理解しておくことが、長期的な賃貸経営の土台になります。
空室リスクの重さは都市部と地方で大きな差がある
立地による利回りの差は、数字だけ見ると地方物件のほうが有利に映ることが多いです。一般的な目安として、一棟アパートの表面利回りは首都圏で6〜7%程度といわれる一方、地方エリアでは10%を超えるケースも珍しくありません。
ところが、この利回り差をそのまま「地方のほうが有利」と読むのは早計です。都市部と地方では、利回りの「質」が大きく違うからです。
- 都市部:物件価格は高く表面利回りは低いが、入居需要が厚く空室損失が出にくい
- 地方:表面利回りは高く見えるが、人口減少・需要の細さから空室リスクが高い傾向がある
地方の高利回り物件は、空室率が少し上がっただけで実質利回りが急激に落ち込む「もろさ」を抱えているケースも少なくありません。「高利回り=高リスク」という関係は、物件種別だけでなく、地域間の利回り差にも同様に当てはまります。
当社SREMでは、東京23区を中心に、物件の属性に応じた収益構造の分析と運用方針のご提案を行っています。「自分の物件がどんなリスクを抱えているか整理したい」という方は、お気軽にご相談ください。
また、現在、空室にお悩みのオーナー様には、原因別の改善方法をまとめた下記の記事が参考になります。
以上、築年数・物件種別・立地という3つの視点から、賃貸物件の利回りが実際にどう変化していくかを確認しました。
まとめ:利回りが下がる理由がわかれば判断に迷わない

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事では、賃貸の利回りが下がる理由を3つの角度から整理しました。
- 物件価格の上昇により「分母が膨らむ」という計算式の構造的なアンバランス
- 管理コスト・修繕費・空室損失など、表面利回りには反映されない実質的なコストの積み上がり
- 築年数・物件種別・立地によって異なる利回りの下がり方とそのリスクの質の違い
利回りの低下は、運営の失敗でも物件選びのミスでもなく、多くの場合はこうした変化の結果です。だからこそ、その仕組みを正しく理解していれば、「なぜ下がっているのか?」を起点に根拠のある判断ができます。
SREM代表 菅原プロのアドバイス
賃貸の利回りについてご相談をいただくとき、私が気になるのは「その利回り、いつ時点の数字で判断していますか?」という点です。
購入時の表面利回りを今も基準にしているオーナー様は少なくありません。ところが物件価格は動き、コストは積み上がり、賃料相場も変化します。購入時に「利回り7%」だった物件が、今の市場価値と実際のコストで計算し直したら「実質4%台」だった、というケースはよく見られます。
とはいえ、“だから損をしている”ということではありません。
数字が変わることは当然の前提として、“今の実態を把握しているかどうか”が問題なのです。実態を知っていれば「このまま持ち続ける」も「売却して組み替える」も、どちらも根拠のある選択になります。
実態を知らないまま放置することが、もっともリスクの高い状態です。
ここで私がお伝えしたいのは、年に一度でいいので実質利回りを計算し直す習慣を持ってほしいということです。定期的に数字を見直すだけで、判断の質はまるで変わります。
こうした現場でのリアルな気づきや、オーナー様から実際にいただく相談をもとにした話は、私が運営するYouTubeチャンネル「スリムな菅原さん【不動産会社女性社長】」でも発信しています。「不動産で人生を豊かにする」をテーマに、教科書には載っていない視点をお届けしているので、よければチェックしてみてください。
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