ここでは、賃貸管理における様々な課題に対する解決策や実施事例をご紹介しています。
空室対策やリーシングプランを立案して賃料や初期費用を相場に合わせることも大切ですが、その前に考えたいことがあります。それは物件がキチンと商品化できているかということです。
では、「物件をキチンと商品化する」とはどういうことなのでしょうか。
過去に私が携わった案件の一つである【平均稼働率70%にも満たなかった住居用の賃貸マンション】を、「たった三カ月で満室稼働を実現」した例をもとにご紹介してみたいと思います。
このケースのオーナーE様は、だんだん増えていく空室に不安を覚えたのをきっかけにご相談を頂いたのがスタートでした。
ご相談頂いた物件は大まかに以下のような特徴を持っていました。
ご相談いただいたマンションは、最寄り駅から徒歩15分でしたが、都心の賃貸物件で、ぎりぎり新耐震...
物件概要を見るだけでは、なぜ空室が増えてしまうのかはわかりませんでした。
また、これまで多くの空室対策(リーシング)に携わっていた経験から、E様からお話を聞いた段階では、賃料の問題かなと思っていましたが、市場調査や分析の結果、いろいろな問題点が浮かび上がってきました。
調査の結果、私の予測に反して、賃料は周辺の賃料相場と大きな乖離は見られませんでした。
しかし、初期費用の条件が近隣物件の募集相場と大きく乖離していました。
具体的には、近隣物件は敷金は0~1ヶ月、礼金は無しという条件で「初期費用を抑えて募集」しているマンションやアパートが多いのに対し、当該物件は敷金礼金2カ月ずつと、初期費用の募集条件が大きく異なっておりました。
長期空室物件のため、部屋内部の状態が非常に悪く、貸し出せる状態になっていませんでした。
お部屋内にほこりがたまっていたり、下水の臭いが充満してしまっていました。
また、お部屋によっては下水から上がってくる虫も発生し、とてもご案内できるような状況のお部屋ではありませんでした。
物件近隣の賃貸仲介会社へ当該マンションについてヒアリングを行ったところ、物件の募集状況がほとんど認知されていない状況でした。
つまり、入居募集を依頼している不動産会社のみの集客力に頼りきった募集状況だったということです。
調査の結果、なぜこの賃貸物件になかなか入居者を誘致できないのかという状況の把握ができ、課題が明確になりました。
そこで、下記のような対策をオーナー様にご提案し、実行いたしました。
まず、募集条件の初期費用を周辺の募集相場とそろえるため、敷金礼金を2ヶ月から0にしました。
E様は、礼金に関しては、「早く入居者様が見つかるなら」ということですんなりご理解いただけましたが、敷金を下げるということに大きなご不安をもっていらっしゃいました。
そこで、敷金を下げることに対するリスクやそのリスクを最小限にするための方法を具体的な事例をあげてご説明しました。
最終的にはE様のご不安も解消され、敷金0で募集することにもご納得いただけました。
(敷金0にする際の注意点は次回以降、別の事例をもってご紹介できればと思います。)
長期空室物件に対し一斉に、ではなくあえて、一部屋ずつ募集、クリーニングを行いました。
確かに、同じ建物内の部屋に対し、一斉にクリーニングを発注すれば、コストダウンにはなります。しかし、時期やエリアの特性から、短期間で全てのお部屋の入居者誘致は難しいと判断し、クリーニングは数回にわけました。
そうすることで、最後の方に募集をかける部屋もぴかぴかに磨かれた状態で入居検討をされる方に見てもらうことができるからです。
また、中古物件が一気に8部屋も空室募集がされていると、この物件を紹介された方から人気のない物件だと思われてしまう可能性もありましたので、そういった意味でも、一部屋ずつの募集は効果がありました。
まずは業者間流通のレインズとATBBに募集条件や部屋のきれいな写真を、できるだけ丁寧に掲載しました。
また、ご協力いただける賃貸仲介業者様に対して、お部屋の写真をお渡ししたり、物件情報や内覧方法を丁寧に周知することで当該物件をお部屋探しをされているお客様へ広くご案内していただけるような環境を整えていきました。
上記のような空室対策が功を奏し、ご相談頂いてから3ヶ月を経った頃にはあっという間に当該賃貸マンションは満室稼働となりました。
その後も満室稼働中にもかかわらず、周りの不動産会社様から空室確認や解約の確認(空き予定の確認)といった問い合わせがくるような人気の賃貸物件になりました。
商品化する、とは言うまでもなく、お客様に選んでいただける状態にする、ことです。
単純なことですが、一人で行うにはけっこう手間と時間、そしてノウハウが必要となってきます。
あなたの賃貸物件はキチンと商品化できていますか?
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