入居者がいる賃貸物件をそのまま買う。この選択肢を知ったとき、うまい話に思える半面、何か落とし穴があるのではと身構えてしまいませんか?
賃貸のオーナーチェンジは、住まい探しの感覚をそのまま持ち込むと判断を誤りやすいです。物件の好みや第一印象より、優先して見るべきものが別にあるからです。
とはいえ難解なものではなく、見るべき場所さえわかれば、初めての方でも筋道を立てて考えられます。
私は東京都港区赤坂の不動産会社SREM(スリム)で、賃貸経営と売買のご相談に長年向き合ってきた大澤です。当社は東京23区を中心にお客様の資産づくりを支えています。
この記事では、賃貸のオーナーチェンジの仕組みから、メリットデメリット、購入前のチェックポイントまで順にお話しします。
大きな金額が動く決断だからこそ、あいまいなまま進んでほしくありません。
買っても大丈夫かどうかを自分の言葉で語れる。そこまで一緒にたどり着けたら嬉しいです!
賃貸のオーナーチェンジとは?仕組みをわかりやすく解説

賃貸のオーナーチェンジとは、入居者が住み続けたまま、所有者が入れ替わる取引をいいます。
まずは仕組みを1つずつ見てきましょう!
原則として、賃貸人の地位が買主へ引き継がれる
一般的には、所有権の移転に伴って賃貸人の地位が買主へ移り、賃貸借契約に基づく権利や義務も基本的に引き継がれます。
引き継ぐ主な内容は、次のとおりです。
- 家賃や契約期間などの契約条件
既存の賃貸借契約は基本的にその内容を引き継ぐため、買主の都合だけで家賃や契約期間などを一方的に自由に変更できるわけではありません。変更には入居者との合意や、法令上認められる手続きなどが必要になります。 - 敷金の返還義務
賃貸人の地位が買主へ移転した場合、敷金の返還に関する債務も買主へ承継されます。退去時には、未払いの家賃や原状回復費用など、敷金から差し引ける金額があれば精算したうえで残額を返還します。 - 退去時の原状回復や修繕のルール
どちらがどこまで費用を負担するかは、法令や既存の契約書、有効な特約などを踏まえて判断します。契約書に書かれているからといって、すべての特約が無条件に有効になるわけではない点にも注意が必要です。 - 更新料や設備に関する特約
前のオーナー様と入居者との間で定められた有効な特約についても、賃貸借契約の承継に伴って効力が続くのが基本です。
つまり、前の所有者が入居者と結んできた契約関係を、基本的に引き継ぐ形になるわけです。
実務では、契約書の一文が購入後の負担や対応を左右することもあります。
物件の見た目や価格だけで判断せず、契約の中身まで読み込む姿勢が欠かせません。
空室の物件を買う場合と何が違うのか比較する
ここで、「なぜ空室にしてから売らないのか?」不思議に感じる方もいるでしょう。
売主は売却まで賃料収入を得ながら売却活動を進めやすく、買主は入居者募集をせずに賃貸経営を引き継げる、双方に一定のメリットがあるからです。
下記は、オーナーチェンジと空室の物件の一般的な違いです。
| 比較項目 | オーナーチェンジ | 空室の物件 |
|---|---|---|
| 入居者 | いる | いない |
| 賃料収入 | 引渡し後から引き継ぐのが基本 | 入居が決まってから |
| 入居者を選ぶ | 既存入居者は選べない | 募集条件を設定して審査できる |
| 契約条件 | 既存契約を基本的に引き継ぐ | 新規募集時に設定できる |
| 室内の確認 | 制限されることが多い | 確認できることが多い |
※実際の扱いは物件や賃貸借契約、売買契約の内容などにより異なります。
オーナーチェンジは、すでに入居者がいるため賃料収入を引き継ぎやすい一方で、購入後に自分の裁量で変更できる範囲は限られます。
基本的には、どちらが優れているかではなく、“目的に合うかどうかで選ぶ” のがおすすめです。
以上、賃貸のオーナーチェンジの仕組みと、空室の賃貸物件を購入する場合との違いを解説しました。
入居者と既存の賃貸借契約を基本的に引き継ぐという性質を押さえておけば、物件情報の見方も変わってくると思います。
オーナーチェンジの賃貸物件を買うメリット・デメリット

オーナーチェンジ物件は、現在の賃貸状況を確認しながら収支を検討できる代わりに、入居者がいるため、自分の裁量で動かせる範囲が限られます。
この長所と短所は、片方だけを見て判断すると後悔につながります。
買ってもよいかどうかは、両方を天秤にかけて初めて答えが出るもの。まずはメリットから順番に見ていきましょう!
メリット
- 空室募集をせずに運用を始めやすい
引き渡し時点で入居が続いていれば、新たに入居者を探すことなく賃貸経営を引き継げます。購入直後から空室のまま返済だけが進む状況を避けやすいのが強みです。 - 契約中の家賃をもとに収支を検討できる
空室の物件では「この家賃なら貸せるはず」という想定賃料が判断材料になりますが、オーナーチェンジでは現在の契約賃料を確認できます。ただし、契約書の金額だけでなく、実際の入金状況や滞納の有無なども確認したうえで判断することが大切です。 - 入居者募集にかかる費用と手間を抑えられる
すでに入居者がいれば、購入直後に新たな入居者を募集する必要はありません。そのため、募集に伴う広告費や仲介関連の費用、内見対応などの負担を当面は抑えられます。 - 空室の物件より価格が抑えられる場合がある
居住中の物件は、すぐに自分で住みたい方の購入対象になりにくく、原則として買い手が投資目的の方を中心に限られます。そのため、物件や地域、市況によっては、空室の物件より価格が抑えられるケースも見られます。 - 現在の賃貸実績を融資の資料として示せる
不動産投資向け融資では、申込者の収入や資産状況だけでなく、物件の担保価値や収益性なども金融機関ごとの基準で審査されます。すでに賃貸中であれば、契約賃料など現在の賃貸状況を資料として示せる点はメリットです。
これらに共通しているのは、“購入前に現在の賃貸実績を確認できる点” です。
とはいえ、今の家賃や入居状況が将来も続く保証はありません。実績を参考にしながら、退去後の家賃相場や必要経費まで含めて収支を考えることが大切です。
※[補足]入居者がいるからといって融資を受けやすいとは限りません。
デメリット
- 室内の状態を自分の目で確かめにくい
入居者が生活している以上、貸主だからといって自由に部屋へ立ち入れるわけではなく、原則として入居者の承諾が必要です。そのため、壁紙や床、水まわりなどの状態を購入前に十分確認できず、退去後に修繕が必要だと分かることもあります。 - 家賃が相場より低くても、すぐ希望額に変更できるとは限らない
現在の家賃が周辺相場より低くても、貸主の判断だけで自由に家賃を引き上げられるわけではありません。実際に希望額へ変更できるかどうかは、契約内容や入居者との協議などによって異なります。 - 現在の利回りが将来も続くとは限らない
反対に、現在の契約家賃が周辺の募集相場より高い場合、入居者の退去後に同じ家賃で次の入居者を確保できないことがあります。現在の家賃だけで利回りを判断せず、周辺の賃料相場や同程度の物件の募集状況も確認しておくことが大切です。 - 購入してすぐに退去が発生する可能性がある
入居者がいつ退去するかは、オーナー側では決められません。購入後まもなく退去すれば、原状回復や設備交換、新たな入居者の募集などの費用が一度に発生することもあります。現在入居中だからといって、購入後の空室リスクがなくなるわけではありません。
デメリットを知ると気持ちが揺れるかもしれません。
そこで当社SREMでは、数字の見栄えだけではなく、こうしたリスクを含めて “無理なく続けられる投資かどうか” を基準に提案しています。
以上、オーナーチェンジの賃貸物件を買うメリットとデメリットを紹介しました。
現在の賃貸実績を確認しやすい一方で、入居者がいるからこその制約もある、その構図が見えてきたのではないでしょうか。
賃貸のオーナーチェンジ物件を購入する前のチェックポイント

判断の精度を決めるのは、物件の見た目だけではなく、手元に集めた事実の量です。
賃貸のオーナーチェンジは資料から読み取れる情報が多く、丁寧にたどればリスクの高い物件をふるいにかけやすくなります。
確認する角度は大きく4つ。入居者と契約、お金の流れ、建物と室内、そして受け取るべき書類です。
入居者と契約の状況を確認する
まずは、誰がどんな条件で住んでいるのかを押さえます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 契約者と居住者 | 一致しているか・無断転貸がないか |
| 契約の種類 | 普通借家か定期借家か |
| 契約期間・更新条件 | 満了時期・更新や再契約の扱い |
| 居住年数 | いつから住んでいるか |
| 家賃・共益費 | 周辺相場との開き |
| 保証会社・連帯保証人 | 利用・設定の有無や保証範囲 |
特に気をつけたいのが、売却の直前に入居が決まった部屋です。
住み始めて日が浅い場合は、現在の家賃が継続的に入金された実績も少ないため、契約条件と実際の入金状況を照らし合わせて確認しましょう。
家賃の入金状況と収益性を確認する
続いて、お金がきちんと回っているかを確かめます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 家賃の入金履歴 | 確認できる期間の遅れの有無 |
| 滞納がある場合 | 金額・期間・督促の経過 |
| 保証会社の対応 | 保証範囲・代位弁済の有無 |
| 経費控除後の利回り | 経費を引いた後の数字 |
| 過去の空室期間 | 確認できる範囲で成約までにかかった期間 |
収益性を示す利回りは、募集図面に載っている表面の数値だけでは、実際の収支は判断できません。
たとえば、物件価格2,000万円・年間の家賃収入120万円の区分マンションの場合、簡易的な試算は以下です。
表面利回り:120万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 6.0%
管理費・修繕積立金・固定資産税・管理委託料などで年30万円かかる場合が以下です。
経費控除後の利回り:(120万円 - 30万円)÷ 2,000万円 × 100 = 4.5%
※経費の種類・金額は物件により異なります。
この例では、経費を引くと利回りは1.5%下がりました。表面利回りだけで判断せず、実際にかかる経費を反映した数字も比較することが大切です。
また、家賃の滞納があるオーナーチェンジ物件では、未収賃料の扱いについて別途確認が必要です。誰が未収分を請求・回収するのか、保証会社の対応を含めて売買契約前に明確にしておきましょう。
建物と室内の状態を確認する
3つ目は、建物そのものの状態です。
| 確認項目 | 可否・見るポイント |
|---|---|
| 室内の内見 | 入居中は可否を要確認。実施する場合は入居者との調整要 |
| 室内の推定 | 同じ間取りの空室・入居前の写真など |
| 共用部の管理 | 清掃・ゴミ置き場・ポストなどの状態 |
| 設備の年式 | 給湯器やエアコンなどの交換・設置時期 |
| 修繕の履歴 | 過去の工事内容と時期 |
| 修繕積立金 | 区分なら管理組合の積立状況と長期修繕計画 |
部屋の中が見えない場合でも、確認できる材料はあります。
見えない部分があるからこそ、確かめられる範囲を丁寧にたどる価値があると考えます。
売主から受け取る書類を確認する
最後に、売主から受け取りたい書類をまとめます。
| 書類 | わかること |
|---|---|
| レントロール(賃借条件の一覧表) | 部屋ごとの契約状況 |
| 賃貸借契約書 | 賃料・更新・設備・特約などの契約条件 |
| 送金明細書(管理会社の入金報告) | 実際に送金された金額 |
| 管理委託契約書 | 管理会社の業務範囲と費用 |
| 修繕・工事の記録 | 過去の修繕内容や費用 |
| 検査済証・図面 | 完了検査時点の法適合確認や設計内容の手がかり |
レントロールは売主や管理会社などが作成する一覧資料であり、記載内容が公的に保証されているわけではありません。
送金明細書や賃貸借契約書と突き合わせ、“書かれた家賃や契約条件と実態が一致しているか” を確かめる。この一手間がとても大事です。
ここまでの項目は、どれも契約を交わす前に確認しておきたいものばかりです。とはいえ、初めての方が資料の行間まで読み解くのは簡単ではありません。
私たちSREMでは、賃貸経営を支える立場で数字と契約書の両面からチェックしています。気になるオーナーチェンジ物件があれば、初回無料相談で資料を一緒に読み解いてみませんか?(来社・オンラインどちらも可)
以上、賃貸のオーナーチェンジ物件を購入する前のチェックポイントを紹介しました。
書類に向き合う時間は地味ですが、その積み重ねが購入後の安心を支えます。焦らず1つずつ確かめる姿勢が、結局はいちばんの近道になると考えます。
まとめ:オーナーチェンジ物件は事前確認を徹底して検討しよう

賃貸のオーナーチェンジで本当に問われるのは、その物件が良いか悪いかではなく、購入後をどこまで描けているかです。
今の入居者、今の家賃はあくまで通過点にすぎません。
ここまで読み進めたあなたは、すでに数字の裏側を見る目を持ち始めています。あと少しだけ、視野を先まで伸ばしてみましょう。
SREM大澤プロのアドバイス
オーナーチェンジ物件を見るとき、私が真っ先に考えるのは今の家賃がなくなった日のことです。
入居者ありきで数字が組まれているため、その方が退去した瞬間に前提が崩れます。
長年ご相談を受けてきて感じるのは、うまくいく方ほど良い時ではなく悪い時を基準に計算しているという点です。
入居中の数字のみで買えるかを見るのではなく、空室になっても続けられるかを見ている。この差はじわじわと効いてきます。
購入を決める前に、次の3つを自分に問いかけてみてください。
- 退去と原状回復、次の入居者が決まるまでの数カ月を、手元資金だけで乗り切れるか?
- 仮に、5年後10年後に手放すとき、誰に向けて売るつもりか?出口が見えているか?
- 購入後、家賃や修繕の相談を気軽にできる相手がそばにいるか?
中でも、2つ目に戸惑った方が多いかもしれませんね。
賃貸中に家賃をこつこつ積み上げても、売却で想定を大きく下回れば、それまでの収益が一気に帳消しになるため、とても重要な問いです。
次に、3つ目は意外に見落としている方が多いです。
賃貸経営は買った瞬間がゴールではなく、その物件と何年、場合によっては何十年と付き合っていくことになるからです。
物件そのものと同じくらい、“誰と組んで運営していくか” が手残りを左右します。そう考えると、購入前の相談相手、不動産会社選びも立派な投資判断の1つではないでしょうか。
SREMの初回無料相談でご一緒に整理しませんか?
私たちSREMは、東京都港区赤坂を拠点に、不動産を貸す・売る・買う・借りるまでを1つの窓口でお手伝いしています。赤坂・溜池山王を中心に、東京23区のほか千葉・神奈川・埼玉の一部エリアにも対応しています。
専属の担当者が最初から最後まで責任を持って向き合うため、話が伝わらないもどかしさや、二度手間になる場面がありません。
「オーナーチェンジ物件の判断材料を整理したい」
「購入後の賃貸管理から出口戦略までまとめて任せたい」
といったご相談も歓迎します。初回無料相談は来社でもオンラインでも受けられますので、検討の途中段階でも気軽に声をかけてください。
不安があるのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。1つずつ確かめながら、あなたの資産形成にふさわしい1件を見つけていきましょう!
もう少し身近に情報に触れたい方には、私が運営するYouTubeチャンネルをのぞいてみてほしいです。東京の街を実際に歩きながら、その土地の歴史や暮らしの空気を不動産会社の目線で紹介しています。
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