利回りの数字は魅力的なのに、あと一歩が踏み出せない。中古アパートの一棟買いを前にして、「これ、本当に大丈夫なのかな…?」と手が止まってしまう方は決して少なくありません。
空室リスク、修繕費、ローン返済…。
ネットの物件情報を見ればわくわくするのに、頭のどこかで不安が騒ぐのは、真剣に検討している方ほど経験するものです。
中古アパートの一棟買いは、物件情報だけでは見えない部分がとても多い買い物です。同じ利回りで並んでいる2棟でも、数年後の姿がまったく違ってくることも珍しくありません。
私は、東京都港区赤坂を拠点に賃貸経営、不動産売却、資産運用をワンストップで支援する不動産会社SREM(スリム)の代表・菅原です。この記事では中古アパートの一棟買いで起きやすい失敗例と対処法を、現場の目線でお伝えします。
読み終えたときに、あなたの中の「なんとなく不安…」が「ここを確認すればいい!」に変わっていたら嬉しく思います!
もくじ
Toggle中古アパートの一棟買い投資でよくある4つの失敗例

中古アパートの一棟買いで失敗する背景には、購入前の情報収集や収支の検証が不十分だったケースが少なくありません。
空室の長期化、家賃の下落、想定外の修繕費、建物や土地に潜む法令・権利関係の問題という4つが、代表的なつまずきです。
まずはどんな結果になり、なぜそれが起きるのかを順に見ていきましょう。
入居者が決まらず空室が長期化し家賃収入が想定を下回った
満室を前提に組んだ収支だったのに、引き渡しから半年経っても部屋が埋まらない。アパートの一棟買い投資で注意したいのが、この空室による失敗です。
主な原因のひとつは、表面利回りの高さだけで判断し、そのエリアの賃貸需要や競合物件を十分に調べていなかったことです。
しかも戸数の少ない一棟アパートは、1戸空くだけでも収入に与える影響が大きくなります。
【計算例(家賃6万円・全8戸のアパート)】
- 満室時の月額家賃収入:6万円×8戸=48万円
- 2戸空室のとき:6万円×6戸=36万円(満室想定の75%)
わずか2戸で月12万円、年間では144万円の差になります。ここからローン返済や固定資産税、管理費、修繕費などを支払えば、手元に残るお金が大きく減ることもあるでしょう。
つまり空室による失敗は、建物の古さだけでなく、地域の需要や競合との違いを十分に確かめないまま購入したことから生まれる場合が多いです。
対処法
空室のリスクは、買う前の調査によってある程度見極められます。立地や周辺環境は購入後に簡単に変えられないため、事前の確認が重要です。
最低限おさえておきたい調査項目と、そこから何がわかるのかを整理しました。
| 確認項目 | 見るポイント | わかること |
|---|---|---|
| 人口・世帯数 | 直近10年程度の推移 | 地域全体の需要動向 |
| 駅までの距離 | 徒歩か・バス便か | 交通利便性や検索条件との相性 |
| 競合の条件 | 家賃・間取り・設備 | 周辺物件と比較した競争力 |
| 近隣の募集状況 | 募集戸数・掲載期間 | 空室の埋まりやすさの目安 |
| 需要源 | 大学・工場・病院など | 想定される入居者層 |
上記のこれらは、自治体の統計や賃貸情報サイトなどで調べられます。
そして収支は、はじめから一定の空室や家賃下落が起きる前提でも組んでおきます。
| パターン | 前提の一例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 想定どおり | 満室が続く | 手残りの最大値はいくらか |
| 一部空室 | 8戸中2戸空き | 返済や運営を続けられるか |
| 家賃下落 | 家賃が5%下がる | 収支がどこまで悪化するか |
私たちSREMは賃貸管理を主軸のひとつにしているため、今どんな部屋が決まりやすいのかを募集の現場で日々見ています。
検討中のアパートについて「この条件で入居が付くのか?」という視点からお話しできますので、無料相談で気軽にぶつけてみてくださいね!
築年数の経過とともに家賃を下げざるを得ず収益が下がった
購入した年の家賃が、10年後も同じ金額で続くとは限りません。買った時点の収入がそのまま続く前提で計算していたために、数年後に収益性が下がっていくケースもあります。
特に見落としがちなのが、長く住んでいる入居者の家賃です。
過去の相場で契約したままの部屋は現在の募集家賃より高いことがあり、その方が退去した途端に収入がスッと下がる場合も少なくありません。
また、家賃が下がる要因は建物の古さだけではありません。エリアの人口・世帯動向や賃貸需要、近隣に新築や競合物件が供給されるかどうかなどにも左右されます。
対処法
家賃が将来いつ、いくら下がるかを正確に予測することは困難です。ただし、現在の家賃と周辺相場を比較し、家賃が下がった場合の収支を購入前に計算しておけば、減収に備えやすくなります。
- レントロールで入居者ごとの家賃と契約時期を確認する
→ 周辺相場より高い部屋は、退去後に減収する可能性がある - 周辺の同条件アパートの募集家賃を調べる
→ 退去後に設定できる家賃の目安がわかる - 相場に近い家賃へ置き換えて収支を計算し直す
→ 購入時の想定利回りとの差が見える - 保有期間全体の長期シミュレーションを作る
→ 空室や家賃下落による収支への影響を確認できる
なお、レントロールに記載された契約内容だけでなく、賃貸借契約書や入金履歴なども可能な範囲で確認し、家賃の滞納や一時的な条件が含まれていないかを確かめることも大切です。
購入後すぐに大規模修繕が必要になり想定外の出費が発生した
中古アパートの一棟買いで資金計画が崩れる要因のひとつが、“購入後の修繕費” です。適切な修繕が長期間行われていない物件では、引き渡し後の短い期間に複数の工事が必要になることがあります。
費用が大きくなりやすい部位を整理しました。
| 部位 | 主な内容 | 費用の規模 |
|---|---|---|
| 屋根 | 塗装・防水・葺き替え | 大 |
| 外壁 | 塗装・シーリング | 大 |
| 給排水管 | 更生・交換 | 大 |
| 共用部 | 階段・廊下・鉄部塗装 | 中 |
| シロアリ被害 | 駆除・木部の補修 | 中 |
| 設備 | 給湯器・エアコン交換 | 小 |
※大…金額が大きくなりやすい・中…範囲により変動する・小…1台ごとの交換
やっかいなのは、劣化が見えにくい箇所です。ぱっと見は整った外観でも、床下や小屋裏、配管内部などに劣化や不具合があることも考えられます。
修繕そのものは、中古アパートを持つ以上避けにくい出費です。必要になる時期とおおよその金額を把握せずに買ってしまうと、資金計画を崩す原因になります。
※費用は建物の規模・構造・劣化状況、工法などで大きく変わります。実際の金額は専門業者の見積もりで確認してください。
対処法
修繕費は “購入前に見通しを立てる” が基本になります。どの工事がいつ必要になりそうかを洗い出せば、購入直後の出費にも備えやすくなります。
- 売主に修繕履歴や工事資料を出してもらう
→ 長期間手を入れていない部位を確認できる - 直近で必要になりそうな工事の見積もりを取る
→ 金額を推測ではなく具体的に検討できる - 技術者の建物状況調査や、建築士・専門業者の調査を検討する
→ 目視できる範囲の劣化状況などを確認できる - 工事費を購入時の資金計画に組み込む
→ 引き渡し直後の資金不足を防ぎやすくなる - 家賃収入から修繕に備えた資金を継続的に確保する
→ 将来の外壁や屋根、設備の工事に備えられる
建物状況調査は、原則として “目視や計測などによって建物の状態を確認するもの” で、隠れた不具合やすべての劣化を発見できるものではありません。床下や小屋裏なども、進入口があり安全に確認できる範囲に限られるため、必要に応じて設備業者やシロアリ業者などによる追加調査も検討しましょう。
大きな工事が必要だと判明したときは、その費用を踏まえた価格交渉や、引き渡し前に売主側で対応してもらえるか相談する選択につながります。
旧耐震や法令・書類上の問題を見落とし融資や売却で行き詰まった
価格の安さに惹かれて買った中古アパートが、実は融資や売却の選択肢が限られる物件だった…。アパート一棟買いの失敗の中で、購入後に解決しにくいのがこのタイプです。
現在の耐震基準、いわゆる新耐震基準は1981年6月1日に施行されています。一般に、同日以降に建築確認を受けた建物かどうかが、基準を判断する際の目安になります。
旧耐震基準や法令上の問題があるアパートは、金融機関の審査方針や建物の残存耐用年数、担保評価などによって、融資期間が短くなったり、希望条件で融資を受けにくくなる場合があります。
また、書類や土地の条件にも、注意したい点が潜んでいます。
| 確認事項 | つまずきやすい点 |
|---|---|
| 検査済証 | 交付の有無や記録を確認できない |
| 増築部分 | 必要な登記や建築手続きが行われていない |
| 容積率・建ぺい率 | 現行基準を超えており、既存不適格または違反状態の可能性がある |
| 接道 | 建築基準法上の接道条件を満たしていない可能性がある |
| 再建築 | 建て替えに制限がある、または原則として再建築できない |
こうした条件に当たると、融資を利用できる買主が限られ、出口となる売却で苦労する可能性があります。売りたいときに売却先が見つかりにくい状態は、日々の収益とは別の負担としてのしかかるのです。
法令上の扱いや融資の判断は、アパートの状況や自治体、金融機関によって異なります。ネットの情報だけで大丈夫と決めつけず、物件ごとに確認する姿勢があなたを守ってくれます。
対処法
書類の確認を、契約前のルーティンにするのが堅実な方法です(下記はその一部)。
- 重要事項説明書
→ 法令上の制限や取引条件、説明対象となる事項がわかる - 登記事項証明書
→ 登記された所有者や抵当権、建物の種類・構造・床面積などがわかる - 建築確認済証・検査済証
→ 建築確認や完了検査に関する記録を確認できる - 公図・地積測量図・建物図面
→ 敷地や建物の位置関係、登記上の形状などを確認する資料になる
不明点が出てきたら不動産会社の説明だけで納得せず、自治体の建築指導を担当する窓口や建築士、土地家屋調査士、司法書士など、確認したい内容に合った専門家へ相談しておきましょう。
融資を利用する場合は、購入申込みや契約の前に金融機関へアパートの物件資料を持参し、取り扱いの可否や条件を確認することも重要です。
ここで合わせて考えたいのが出口(売却)の想定です。「10年後、このアパートを誰が、どのような条件で買うのだろう?」と購入前に想像できていれば、選ぶ物件は自然と変わってきます。
当社SREMでは、貸す・売る・買うを1人の専属担当が最初から最後まで受け持つため、購入時の判断と貸すときの現実、売るときの見通しを同じ目線でお伝えできます。
以上、中古アパートの一棟買いでよくある4つの失敗例を、原因と対処法まで解説しました。
すべてのリスクを完全に防ぐことはできませんが、購入前の調査や収支の検証によって、問題に気づいたり影響を小さくできる場合が多いです。
また、一棟アパート管理を自分で行うか、管理会社へ委託するか迷っている方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
まとめ:中古アパートの一棟買いは失敗例を知りプロに相談

中古アパートの一棟買いで起きる失敗の中には、購入前の確認不足が原因となるものが多いです。逆にいえば、契約前に立ち止まり、物件や収支の条件を丁寧に調べることで、リスクを抑えられる可能性も高まるでしょう。
そして「もう買ってしまった…」という方も、手詰まりだと決めつけないでください。取り得る対策が残っている場合もあり、着手する順番を整理することが大切です。
- 現在の家賃収入、返済額、経費をもとに収支を計算し直す
→ 赤字の原因を特定する - 空室が続くなら募集条件を組み直す
→ 家賃だけでなく初期費用や設備、入居条件も見直す - 反応が変わらなければ管理会社の見直しを検討する
→ 募集方法や報告体制、対応内容を比較する - 修繕は優先順位をつけて進める
→ 安全性や入居募集への影響が大きい工事から検討する - 保有と売却を数字で比べる
→ 持ち続ける前提を一度外し、将来の収支も含めて考える
数字を並べ直した結果、保有を続けるよりも、早めに売却したほうが損失の拡大を抑えられる場合もあります。悩んでいる間にも空室や維持費による負担は続くため、無駄なく状況を整理していきましょう。
なお、税務は税理士、登記は司法書士、融資条件は金融機関など、専門的な判断が必要な分野は、それぞれの専門家への確認が必要です。
SREM代表 菅原プロのアドバイス
不動産業界に18年以上いる中で、私が繰り返し感じてきたことがあります。それは、賃貸経営がうまくいっているオーナー様ほど、物件の数字だけでなく、その部屋に住む方の暮らしから逆算して考えている点です。
利回りは、購入価格や家賃収入などをもとに算出する重要な指標ですが、それだけで入居需要や将来の収益性を判断できるわけではありません。
駅からアパートまでどのような道を歩くのか、収納はこれで足りるのか、洗濯機はどこに置くのかなど、実際の生活を想像しにくい部屋は、利回りが高く見えても入居者に選ばれにくい場合があります。
もう1つお伝えしたいのが、“時間の重み” です。空室や判断の遅れによる影響は、月単位だけでなく、日割りで考えると具体的に把握しやすくなります。
【計算例】(家賃6万円の部屋が1戸空いた場合)
6万円÷30日=1日あたり約2,000円
単純計算では、募集条件を決めきれずに1週間が経過すると、得られなかった家賃収入は約1万4,000円になります。実際の損失額は経費や入居時期などによって異なりますが、焦って決めるのは危険である一方、判断を先送りしている時間にもコストがかかることは知っておいてほしいです。
そして契約を交わす前なら、購入を見送ることも含めて物件を選べる立場にいます。「このアパート、どう思いますか?」の一言から始めていただけたら、私たちSREMは本気で向き合います!
購入前の不安も購入後の悩みもSREMの無料相談へ
私たちSREMは、東京都港区赤坂にある不動産会社です。賃貸経営の支援、不動産を貸す・売る・買う・借りるまでをワンストップでお手伝いしています。
対応エリアは、赤坂・溜池山王を中心とした東京23区で、千葉、神奈川、埼玉の一部にも対応しています。初回相談は無料で、ご来社でもオンラインでも構いません。
購入を検討中の物件について客観的な意見が欲しい方、現在所有しているアパートの収支や管理を見直したい方、売却も含めて考え直したい方など、どの段階からでもご相談いただけます。
不安なまま決断せず、まずは気になっていることを言葉にするところから始めてみませんか?
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